地理の扉 地理用語集
ピート(peat)や草炭とも呼ばれる。低品位の石炭である褐炭よりもさらに炭化度の低い、植物由来の石炭の一種。一般に湿地に発達するため湿っている。植物の遺骸が地表に堆積する速度が微生物などによる分解速度を超えると形成される。
低温多雨の地域ではミズゴケ中心のものが、高温多雨の地域ではマングローブなど樹木中心のものが生成され、特に後者をトロピカルピートと呼称する。形成速度は地域差や統計による差は大きいが年1mmほどとされている。化石燃料の一種としては比較的早い方と言えるだろうが人間の需要を賄えるほどではない。
乾燥させると比較的熱量が大きい燃料となるため第二次世界大戦期から戦後の混乱期の日本、現代ではフィンランドなどで大規模に利用されている。一方、東南アジアのプランテーション地帯では山火事の原因となっており、泥炭は鎮火しづらいため被害が拡大しやすい。
現代においても寒冷で湿度の高い地域で生成されており、分解途中であるため有機物が多く残り高い炭素貯留機能を持つが、裏返すと燃料として利用することで大量の二酸化炭素を排出することになる。