地理の扉 地理用語集
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広義にはpH5.6未満(目安は炭酸水。厳密な値ではないが、おおよそ炭酸水より酸性の強い雨が酸性雨である)酸性雨による問題は国境を越えて広がるため、国際的な協力による排出削減対策が不可欠である。アメリカ合衆国では五大湖からカンザス州中部以東、中国では長江以南、ヨーロッパではフランス以外の南欧を除くほぼ全域。ヨーロッパでは北欧諸国の首都付近やベルリン、ワルシャワ周辺で特に深刻。
酸性雨は森林の土壌を酸性化させ、樹木の生育を阻害し、悪いケースだと枯死に至らせる。湖沼や河川ではpHが低下(値が小さくなる)し、魚類や水生生物の生息環境を破壊し、生態系のバランスを崩壊させる。酸性の雨で溶解した金属が河川や地下水に流入する可能性も否定できない。
大理石による石造りの歴史的建造物や銅像などは、酸性雨によって溶かされ、劣化が進行する。橋梁やパイプラインなどの金属製のインフラも腐食が進みやすくなり、安全性や耐久性の低下、ひいては維持管理コストの増大を招く。
酸性雨そのものではないが、酸性雨の原因となる硫黄酸化物、窒素酸化物などは呼吸器疾患や循環器疾患のリスクを高める。