地理の扉 地理資料集
経済力・軍事力ともに世界最大級の国家。情報産業コングロマリットが多数存在するカリフォルニア州は今や日本を抜いてGDPではドイツに次ぐ世界4位の経済規模を誇る地域となった。
地域差は見られるが全国的に人口は増加傾向にある。イギリスからの独立後まもなくは人口の大半が北東部に集中していた。北東部はデトロイトを抱えるミシガン州やクリーヴランドを抱えるオハイオ州などが当時からの人口密集地域。しかし、1970年代に産業構造が重工業から先端技術産業中心に移行すると北緯37°以南のサンベルトに工業の重心が移り、従来の北東部の工業地帯は衰退が見られ「フロストベルト」や「ラストベルト」と呼称されることになった。
シアトル
ワシントン州のシアトルはボーイングが生産拠点を置き航空機産業が盛んな地域である。これはもともとコロンビア河谷開発公社(略称はCVAだがいずれもメインの参考資料による表記。ボンネヴィル電源開発公社、ボンネビル電力局という記載の資料もあるが、これらがCVAと同一かは確認できていない)のもとで建設されたグランドクーリーダムから水資源の供給を受けコロンビア盆地での小麦栽培が拡大すると同時に電力の供給も受けスポーケンでのアルミニウム工業が発達していたことも理由である。
なお、ボーイングの本社自体はバージニア州であるほか、航空機は国際分業が盛んな産業である(既に冗長化仕切ったような技術から最先端技術までが要求される)ことに留意されたい。
デトロイト
ミシガン州のデトロイトは五大湖付近の自動車工業で栄えた都市。1950年代の最盛期には人口は190万人近くに達したが2000年頃まで急速な減少が続き、以降は横ばいで60万人と少しで推移している。都市としての歴史は古く、1701年にはフランス人が入植していた。1805年の大火で計画的な都市づくりが行われたがそれ以上にこの都市の運命を買えたのは1903年のフォードの工場設立である(のちにゼネラル・モーターズやクライスラーも工場を立地させた)。これはアパラチア炭田とメサビ鉄山、それに五大湖と付帯する水運網という理想的な環境が整っていたからである。
しかし国内の炭田や鉱山が枯渇するとともに日本やドイツメーカーとの激しい競争にさらされたアメリカ合衆国国内の自動車業は後退し、デトロイトの人口も急減、社会保障制度が立ち行かなくなりかねないレベルでの人口減少を記録し治安も悪化した。近年、日系企業などはデトロイトを集積地として周囲の州とハイウェーで結節し生産されたものを輸送する形態を取ってアメリカ合衆国国内での生産を維持している。これはハイウェー沿道の州が税制面での企業優遇政策を採っていることや、結局一大消費地のニューヨーク大都市圏に近いこと、アメリカ合衆国政府への政治的な配慮などが理由である。沿道州の代表例としてはミシガン州やインディアナ州、オハイオ州、テネシー州、ミシシッピ州、ウェストバージニア州、ケンタッキー州、アラバマ州などが挙げられる。
ピッツバーグ
アパラチア炭田に近く、20世紀初頭から鉄鋼業の集積地として栄えた。USスチールの本社が位置するが、現在は先端企業の立地が進む。なお、メサビ鉱山に近接する都市はダルース。
サンフランシスコ
サンフランシスコは地中海性気候に属するが、偏西風が卓越するため相対湿度は比較的高く、南欧やアフリカ北部のやせた灌木林とは異なり豊かな森林も見られる。霧が発生しやすいため「霧のサンフランシスコ」とも呼ばれる。
【参考】アメリカ合衆国の都市 人口ランキング
1.ニューヨーク 2.ロサンゼルス 3.シカゴ 4.ヒューストン
【参考】アメリカ合衆国の都市 人口ランキング(別出典)
1位:ニューヨーク(817.5万人) 2位:ロサンゼルス(379.3万人) 3位:シカゴ(269万人)
フロリダ州
人口増加割合は国内有数だが、年金生活者の流入が多く老年人口割合は米国一位(20.9%・米国平均16.5%)。
サンベルト
テキサス州(サンベルト、ヒューストンにはジョンソン宇宙センターが立地する。石油を産出する)、フロリダ州(エレクトロニクスベルト・シリコンコースト、ケネディ宇宙センターが立地するほか温暖で老後の居住地として人気)、アリゾナ州(シリコンデザート、インテル本社やファウンドリのTSMC(台湾積体電路製造)の新工場などが立地しする。州都はフェニックス)などが位置する。
農業が盛んな州は首位がカリフォルニア州(2位以下の二倍強)、ついでアイオワ州。アイオワ州以降の2位〜6位は全て米国中西部(イリノイ州、ネブラスカ州、ミネソタ州)の州が続く。畜産が盛んな州は、首位がテキサス州(牛の飼育頭数が1位)で、ついでアイオワ州、ネブラスカ州、カリフォルニア州、カンザス州と続く。
テキサス
農業の話題では頻出。綿花や牛の生産が盛んで、特に牛はグレートプレーンズでの放牧が多い。綿花を栽培するには無霜期間が年200日以上である必要があるため、低緯度(アメリカ合衆国では南部諸州)地域で栽培が盛んとなりやすい。なお、かつては黒人奴隷を使役した生産が盛んだったが、現在は連作障害などの問題も顕在化している。コメの栽培も盛ん。
小麦はカナダ南部から米国北部の春小麦地帯と米国中央部の冬小麦地帯に分けられ、春小麦地帯の中ではノースダコタ州が、冬小麦地帯の中ではカンザス州が特に栽培が盛んな地域である。
五大湖周辺
いわゆるコーンベルトに該当し、混合農業が盛ん。専門経営化が進んでいる。
参考:米国内でその州が生産量首位の農作物
・アイオワ州:とうもろこし、豚、鶏
・アイダホ州:大麦、ばれいしょ
・アーカンソー州:米
・イリノイ州:大豆
・カリフォルニア州:農業生産額、オリーブ、プルーン、牛乳
・テキサス州:戸数、農地面積、畜産額、綿花、干し草、牛、羊(※ジョージア州〜ルイジアナ州の綿花地帯はテキサス州側に移動している)
・ノースカロライナ州:タバコ
・ノースダコタ州:小麦、えん麦
・ハワイ州:コーヒー他
・フロリダ州:サトウキビ、柑橘類
・ワイオミング州:農家一個あたりの農地面積(969ha)
・ワシントン州:ホップ
ハワイ諸島
マントルプリューム上のホットスポット周辺に位置する島々。主な島は西からニイハウ島、カウアイ島、オアフ島、マウイ島など、そして最大のハワイ島。西に行けば行くほど古い時期に形成された島々で、ハワイ諸島以西には沈水したかつての島々が海山列をなしている。カウアイ島の最高地点の標高は1598m、ハワイ島の最高地点はマウナロア山で4169m。同じくハワイ島にあるキラウエア山は1222m。周囲の深海の水深は約6000mである。