地理の扉 地理資料集
火山灰は水はけが良い乏水地を作るため、国内では関東ロームやシラスなどの畑作地帯が知られている。
・玄武岩質のほうが粘性が小さく、安山岩質/流紋岩質のほうが粘性が大きい。
・カルデラの中に新たに火山が発生したものを「複式火山」とよぶ。凹地部に形成された平野を火口原とよび、周辺の山を外輪山とよぶ。
・噴出物の例:火砕流(火山ガスや火山灰、溶岩片などが斜面を高速で流下する)、火山泥流(降水や融雪とまざって火山噴出物が流下)、火山灰、溶岩流など。
○鐘状火山(トロイデ):溶岩円頂丘(溶岩ドーム)とも。粘り気の大きい溶岩からなるドーム状の火山。大山、焼岳、普賢岳など。
○塔状火山(ベロニーテ):地下で固結した溶岩塔が突出したもの。昭和新山など。
○爆発火口(マール):山体がなく、凹状の火口のみのもの。湖になりやすい。一ノ目潟、二ノ目潟(男鹿半島)など。
○成層火山(コニーデ):溶岩と砕石物を交互に噴出し、それらが層をなして堆積して生じた火山。富士山、キリマンジャロ山など。
○楯状火山(アスピーテ):流動性の強い溶岩が、扁平に広がった火山。マウナ・ロア山、マウナケア山など。
○溶岩台地(ペジオニーテ):流動性のある溶岩が、広く台地上に広がった火山。デカン高原、ケマ高原(北朝鮮)など。
○カルデラ:爆発や陥没で火山帯の上部が失われた大きな火口状の凹地。陥没は阿蘇山、箱根山などで、爆裂は三原山、磐梯山など。
・湖ができることもある。
○火口原湖:複式火山の火口原に形成。芦ノ湖など。
○カルデラ湖:カルデラの大部分を占める。洞爺湖、摩周湖、支笏湖、屈斜路湖、阿寒湖、十和田湖(青森/秋田)など。
○火口湖:単式火山の火口に形成。御釜(宮城)
○堰止湖:火山噴出物や崩壊した山体にせき止められ形成。富士五湖、中禅寺湖(栃木)など。
高速で火山からの噴出物が斜面を流下する火砕流と泥流に融雪水が加わったものが融雪型火山泥流で、十勝岳やネバドデルイス山などでの発生が取り上げられる。
上層数十kmがプレートで、マントル上部の比較的硬い層と合わせてリソスフェア(岩石圏)とも呼ばれる。楯状地では厚さが200kmに至るとされる大陸プレートと、平均して70から80kmの厚さとされる海洋プレートに大別される。海洋プレートは比較的移動速度が大きく、次々に海嶺で生成されては海溝で消失していくため比較的若い。地球は十数枚のプレートに覆われており、その境界(変動帯)は微小な速度で移動しているプレート同士の関係性の違いにより狭まる境界、広がる境界、ずれる境界の3つに分類される。
プレートの由来はマントルで、マントルは上部マントルと下部マントルに分けられ、その中でも流動性が高い部分をアセノスフェアと呼ぶ。更にその内部には外核・内核が存在する。プリュームテクトニクスなどは地学的な内容に寄るうえ、詳細な内容が手元の資料では十分でなかったため省くが、ハワイ諸島のホットスポットは南太平洋超プルームと呼ばれるマントルプルームに由来すると考えられているそうだ(プルームの中でも上昇流をホットプルーム、下降流をコールドプルームと呼ぶ)。
日本周辺はユーラシアプレート(大陸プレート)、フィリピン海プレート(海洋プレート)、太平洋プレート(海洋プレート)、北米プレート(大陸プレート)の4つのプレートの境界となっている地域で、日本列島はおもに火山フロント由来の火山岩や、付加体(海洋プレートが大陸プレートに沈み込む際に、表面や表面に近い岩体が削り取られ、圧縮により厚みを増したもの)で形成されている。
南西諸島沖のフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界を琉球海溝、西日本沖の境界を南海トラフ、伊豆諸島・小笠原諸島沖で太平洋プレートとフィリピン海プレート(いずれも海洋プレートであることに注目、太平洋プレート側が沈み込んでいる)の境界を伊豆・小笠原海溝、東日本沖の北米プレートと太平洋プレートの境界を日本海溝(以上のトラフ、海溝は全て太平洋側に存在する)と呼称する。相模湾から南東に伸びる境界は相模トラフ、駿河湾沖の境界は駿河トラフと称される。トラフは浅い海溝程度の意。
フォッサマグナは北米プレートとユーラシアプレートの境界と考えられるそうだが、北米プレートとユーラシアプレートの境界は全体に未確定の境界とされ試験で言及されることはほとんどない印象。
・マントル対流(プルームテクトニクス)による、花崗岩質で軽い大陸プレートと玄武岩質で重い海洋プレートの移動で大陸の移動などを説明する考え方。かつての大陸移動説の延長線上の発送であるが、大陸移動説そのものではない。
超大陸「パンゲア」その地中海の「テティス海」
・パンゲアは現在のユーラシア大陸・北米大陸の「ローラシアランド」とそれ以外及びインド半島・アラビア半島の大部分の「ゴンドワナランド」で構成されていた。現在の安定陸塊の区分には「アンガラランド」「フェノサルマティア」「シナ地塊」も含まれる。
・朝鮮半島は安定陸塊。
プレート境界を変動帯、それ以外を安定帯と呼び、変動帯には様々な様態が見られるがいずれも地震が多発する地域である。安定陸塊の中で卓状地が見られるのはシナ地塊・インド陸塊・シベリアだけで、残りは楯状地である。狭まる境界の大規模な山地は大陸プレートどうしによる「褶曲山脈」で、火山が存在しない。海洋プレート同士の場合、海溝や火山フロントが形成され、弧状列島が成立する。テンシャン山脈、アルタイ山脈は大陸プレートどうしの衝突による隆起を受け続けているため、古期造山帯ではあるが標高が高い。
プレート境界には、広がる境界と狭まる境界がある。また、プレート同士が水平にすれ違っているずれる境界も存在する。海洋プレートは大陸プレートに比べ比重が大きい岩石でできているので、大陸プレートと海洋プレートの狭まる境界は沈み込み帯になりやすいが、必ずしも沈み込み帯は大陸プレートと海洋プレートによるものではない。
広がる境界は太平洋東南部、大西洋中部、インド洋中部、そして南半球の高緯度地帯に主に存在する。大洋に存在する広がる境界はそれぞれ東太平洋海嶺、大西洋中央海嶺、インド洋中央海嶺となっている。紅海からアフリカ大地溝帯にかけても広がる境界である。
狭まる境界は沈み込み帯か衝突帯となっていることが多い。前者は海溝を、後者は褶曲山脈を形成し、海溝には付加体や火山活動による弧状列島や山脈が伴われる。海溝としてはジャワ島からスンダ列島にかけてのスンダ海溝、沖縄周辺の南西諸島海溝、フィリピン諸島沖のフィリピン海溝、アリューシャン諸島に沿ったアリューシャン海溝、カムチャツカ半島からマリアナ諸島にかけての千島カムチャツカ海溝・日本海溝・伊豆小笠原海溝・マリアナ海溝、トンガ沖のトンガ海溝、トンガからニュージーランド北部沖(サモア)にかけてのケルマデック海溝、西インド諸島沖のプエルトリコ海溝、南米大陸沖のペルー海溝とチリ海溝などが挙げられる。褶曲山地を形成している場所としてはヒマラヤ山脈やアルプス山脈が代表例。
ずれる境界はトランスフォーム断層を形成する。安易な認識ではあるが海溝でも海嶺でもないプレートの繋ぎ目に見られやすい。地上でも見られる例としてサンアンドレアス断層が有名。地学的には海嶺を横切りずらせている断層、と説明される。
【資料】主な古期造山帯
スカンディナビア山脈、ペニン山脈、ジュラ山脈、エルツ山地、スデティ山脈、ドラケンスバーグ山脈、ウラル山脈、クンルン山脈、テンシャン山脈、アルタイ山脈、大シンアンンリン山脈、グレートグレートディバイディング山脈、アパラチア山脈 以上
【資料】主な新規造山帯
アペニン山脈、ディナルアルプス山脈、スライマン山脈、ヒンドゥークシ山脈、パミール高原、チベット高原、パトカイ山脈、アラカン山脈、ブルンスウィック山脈、海岸山脈、スラウェシ島、ハルマハラ島 等
日本には西日本火山帯と東日本火山帯の日本の火山前線(火山フロント)が走り、西日本火山帯は南西諸島から九州中央部、中国山地を通り兵庫県辺りで消滅する。九州地方までは盛んに活火山が見られるが、中国地方から近畿地方にかけては見られない。東日本火山帯は小笠原諸島・伊豆諸島を通り、そのまま北上して中央部でやや北東方向に向きを転じる。
そのまま北海道まで東北地方を縦貫し、北海道で東に向きを転じて千島列島に向かう。東日本火山帯では全地域を通して活火山が見られる。また、中央構造線と呼ばれる大断層地帯が不明瞭なものは房総半島の付け根あたりから、明瞭なものがフォッサマグナ西線の糸魚川・静岡構造線(なお東線は不明瞭)の中心部から南西に伸び、知多半島や渥美半島、紀ノ川付近や友ヶ島近辺、吉野川や佐田岬半島を通って大分市と臼杵市近辺に上陸してまた不明瞭となる。中央構造線に区切られた太平洋側を西南日本外帯、日本海側を西南日本内帯という。
日本は日本海側から時計回りにユーラシアプレート、北アメリカ(北米)プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートに挟まれている。うち前者二つは大陸プレートで、後ろ二つは海洋プレートである。糸魚川から北に伸びる形でユーラシアプレートと北米プレートの境界が存在するが、これらは大陸プレートどうしの境界で、不明瞭。千島列島から房総半島沖にかけてが北米プレートと太平洋プレートの境界で、太平洋プレートが沈み込んで千島・カムチャツカ海溝から日本海溝が形成されており、年間8から10センチの移動が見られる。伊豆半島から南東方向に伸びる北米プレートとフィリピン海プレートの境界は相模トラフと呼ばれる(トラフは浅い海溝)。
相模トラフより南方はフィリピン海プレートと太平洋プレートの境界となり、これらはいずれも海洋プレートであるが小笠原諸島から見て東側で太平洋プレートが沈み込む形で伊豆・小笠原海溝が形成されている。フォッサマグナより西側はユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界で、フィリピン海プレートが沈み込んで南海トラフから南西諸島海溝、沖縄トラフが形成されている。移動量は年3から5センチ程度とされる。
マントルから局地的に地表に達している熱源で、一般に火山が存在する。太平洋では天皇海山列やハワイ諸島がその代表例で、大西洋にはワルビス海嶺が存在するほか、インド洋にも見られる。