地理の扉 地理資料集
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ほぼ全域が熱帯気候で、伝統的には暑さや疫病・獣対策で高床式住居や杭上住居が建造され、水牛で田を耕す「川に魚あり、田に米あり」の暮らしをおくる。
大陸部は殆どが安定陸塊と古期造山帯で構成されるがマレー半島〜ミャンマーにかけては新期造山帯が分布し、島嶼部は大部分が新期造山帯(メモ参照)で火山も分布し地震が多い。アルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯の合流部で、ボルネオ島南側に位置する島はK字型を描く。スンダ列島以北の内海は大陸棚が多く、水深が比較的浅い。
域内の赤道直下付近は熱帯雨林気候が分布する。ルソン島には熱帯モンスーン気候が分布し、ジャワ島中部以西の島々にはサバナ気候が分布する(南半球のため気候が逆転することに注意)。夏季はベンガル湾付近から南西のモンスーンが、冬季はシベリア方面から北東のモンスーンが吹き、特に冬季は大陸部の降水量は少なく、島嶼部はモンスーンが温暖な海の上を通過することで水蒸気を得て、降水量が多いという特徴がある。
ジャワ島やバリ島、ルソン島などの人口が稠密な島々では伝統的な棚田による稲作が盛んに行われ、温暖で湿潤な気候を活かして二〜三期作も行われる。一方、人口が希薄な島々では焼き畑やプランテーション農業が行われ、天然ゴムやアブラヤシ(パーム油などの原料)、バナナなどが生産される。
※環太平洋造山帯はNZ南島〜ニューギニア島〜フィリピン〜台湾〜日本〜千島列島・樺太〜カムチャツカ半島〜アラスカ中南部〜ロッキー山脈〜パナマ地峡・カリブ海諸島嶼〜アンデス山脈〜南米大陸南端を、アルプス・ヒマラヤ造山帯はボルネオ島〜インドシナ半島南部〜ヒマラヤ山脈〜アナトリア高原〜地中海周縁部の諸山脈に位置する。
ほとんどの地域がイギリスとフランス、オランダの旧植民地で、一部にその他の国々の旧植民地がある。タイ(緩衝国として独立維持)を挟んでインドシナ半島の西側及び香港とマレーシアは英が、東側は仏が植民地支配を敷いていた。現在のインドネシアはオランダが、フィリピンは米西戦争で勝利しここを獲得したアメリカが支配し、例外的に台湾を日本が、マカオと東ティモールをポルトガルが支配していた。
大陸部はシナ・チベット語族が主で、ベトナムとカンボジアにはオーストロアジア系の民族が分布する。一方で島嶼部はマレー系の人々が多数で、経済の実権を握り富裕層でもある中国系の民族(華僑や華人)・インド系の民族(印僑)などが進出しマレーシアやシンガポールでは複合社会を形成している。
大陸部の五カ国には仏教徒が多い。基本的に南伝仏教である上座部仏教が多くインド系の独自の文字を持つが、中国との関わりが多いベトナムのみ北伝仏教である大乗仏教が分布する。島嶼部のフィリピンはかつて米国とスペインの植民地だったため、公用語が英語とフィリピノ語、宗教はカトリックが主。ポルトガルの植民地だった東ティモールにもカトリック教徒が多い。その他島嶼部の国はマレー語話者とイスラム教徒が多い。
フィリピン南部に住むモロ族はイスラム教を信仰し、インドネシアのバリ島にはヒンドゥー教徒が居住するなど一国内の一部地域に宗教的マイノリティーが見られる。
華人は中国でも山がちで貧しく人口圧の高い福建省や広東省出身の華僑が現地に定着した物。クーリーとしてスズ鉱山に従事、経済的地位の向上とともに現地住民の反感を買い、華人が多いマレーシアではシンガポールの独立やブミプトラ政策などが行われた。
※上座部仏教は男子は一生に一度出家し托鉢などの修行を行う他、独特の形状の「パゴダ」などの寺院で知られている。