地理の扉 地理資料集
内的営力は大地形を作るもので、隆起や沈降などの地殻変動と火山活動に分けられる。外的営力は小地形を作るもので、風化や(侵食・)運搬・堆積作用で説明される。
1.原地形:海底や海水面付近の平坦面が、内的営力により急速に隆起して形成。侵食を受けていない。
2.幼年期:平坦面が広く残りつつも、若干の侵食を受け河谷が形成されている。
3.壮年期:河食が進行し、V字谷が形成され、平坦面がなくなり急峻な山地となる。
4.老年期:山稜が崩れていき、山谷の比高が小さくなり、なだらかな山地となる。
5.準平原:ほぼ海水面に近い高さになった平坦な地形。残丘がみられる。
→これが再度隆起し、原地形に戻れば「隆起準平原」。
・安定陸塊で、先カンブリア時代(カンブリア紀以前)の基盤岩が露出している地域を楯状地と呼び、準平原となっているところが多い。
○褶曲山地
地殻内部が横からの圧力を受けて曲げられ、波状に屈曲してできた大規模な山地。アルプス山脈、ヒマラヤ山脈、アンデス山脈など。谷の部分を「向斜部」、山の部分を「背斜部」とよぶ。
○断層山地
・地塁:両側を2つの断層崖に挟まれた山地。木曽山脈、赤石山脈、鈴鹿山脈、テンシャン山脈など。
・傾動地塊:山地の片方が断層崖による急斜面、もう一方が緩斜面となっている山地。飛騨山脈、六甲山地、生駒山地、シエラネバダ山脈など。
○曲降盆地
地盤が下方に湾曲し下降(曲降)することでつくられた盆地。ケスタになりやすい。パリ盆地、コンゴ盆地、グレートアーテジアン盆地など。
○断層盆地
・地溝盆地:両側を断層崖によって挟まれた盆地状の低地。諏訪盆地、奈良盆地、タリム盆地など。
・断層角盆地:片側を断層崖の急斜面、もう一方を緩斜面によって挟まれた盆地。亀岡盆地など。
侵食平野 ━┳━ 準平原(モナドノック(残丘)がみられる)
┗━ 構造平野(メサ、ビュート、ケスタ(硬軟互層が選択侵食))
堆積平野 ━┳━ 沖積平野 ━┳━ 谷底平野(河川の側方侵食)
┃ ┣━ 扇状地(谷口集落、水無川、湧水地)
┃ ┣━ 氾濫原(自然堤防、後背湿地、三日月湖、天井川)
┃ ┗━ 三角州(円弧状、鳥趾状、カスプ(尖)状)
┣━ 洪積台地 ━┳━ 隆起扇状地/隆起三角州*
┃ ┣━ 隆起海岸平野(下総台地)
┃ ┣━ 河岸段丘(天竜川、片品川)
┃ ┗━ 海岸段丘 ━┳━ (室戸岬、襟裳岬、三浦半島、野寒布岬)
┃ ┣━ 海食崖(海蝕洞などもみられる)
┃ ┣━ 海食棚(潮間部の波食による平坦面)
┃ ┗━ 海食台(海底の平坦な岩礁面)
┗━ 海岸平野 ━┳━ (九十九里平野、宮崎平野、大西洋岸平野)
┣━ 沿岸州(海岸線にほぼ平行な砂州)
┣━ 浜堤(波や隆起に由来する微高地)
┗━ 堤間湿地(排水悪く、地盤も軟弱)
*(牧之原台地、武蔵野台地、磐田原台地、三方原台地)
※ケスタ:一方が緩傾斜、もう一方が急傾斜で非対称形の丘陵形の地形。
※扇頂・扇央・扇端のうち「扇央」は乏水地で森林や桑園、畑、果樹園が位置する。
※沖積平野は、上流が砂質で下流が泥質。だから、後背湿地は水はけが悪い。
※洪積台地は古い平野が相対的に隆起し(海面低下の可能性もあり)、台地形になったもの。
※河岸段丘は乏水地で畑が多かったが、水利技術の発展で集落や水田の立地が進んだ。
※高位段丘面で果樹園、畑、集落が、低位段丘面で水田、段丘崖では森林などが位置する。
※海岸平野は単調な海岸線、砂浜海岸が特徴。
※海岸平野・海岸段丘はとともに離水海岸であり遠浅。
※海岸侵食において、岩石海岸では軟らかい岩石による海食崖の後退が問題となる。
リアス式海岸は平時は波が穏やかだが津波被害は大きくなりやすい。
河川によって運搬された砂や粘土が河口の静水域に堆積して作られた低平な地形。円弧状、カスプ状、鳥趾状の3つに分類できる。単純な土砂の流下量、流度組成、水深・地形、沿岸流、波などに左右される。
クロアティア沖のアドリア海(ダルマティア海)やマレー半島岸に見らる
エーゲ海や瀬戸内海に見られる
勾配が小さく運搬、浸食作用の弱い大平野を流れる河川の河口部に多い。テムズ川、セーヌ川、エルベ川、セントローレンス川、ラプラタ川のものが著名で、後背地に恵まれている。
硬軟互層の水平層で、硬い岩盤を残し周囲が浸食を受けたために急崖をもつテーブル(卓)状の地形が残されたもの。メサの方が比較的大型で、メサがさらに侵食を受けたものがビュート、岩層が傾斜しており選択侵食を受けたものがケスタだと説明される。硬い岩層は堆積岩や溶岩流に由来する。アメリカ合衆国のコロラド川流域のものが著名。河川の浸食や氷食による。
リアス海岸を構成したりしている沈水海岸の一つひとつを指す。乾燥地域では河谷が形成されにくいため、沈水した際の海岸線は単調になる傾向にある。
・浅海暖麗ちゃん:水深5m~20mの浅い場所で、海水(海)で、水温が25 ℃〜30 ℃(18 ℃は下回ってはいけない)の綺麗な海に生息する(が、アマゾン川河口部の深い海に生息しているのも確認されたそうなので例外はある(→ナショナルジオグラフィック))。
・サンゴ礁の北限は日本の南西諸島とされる。
・一般にサンゴ礁というとスキューバダイビングをした時に見られるアレを連想するかもしれないが、地理的には以下の4つに分けられる。最後の卓礁に関しては言及されないことが多い。アフリカ東岸・南米東岸は寒流が低緯度に向かって流れるため、サンゴ礁が発達しづらい。
・裾礁…火山島などの海岸を取り巻いて発達したもの。海面までしか成長できないので、平坦な礁原が広がる。南西諸島やベンガル湾、紅海、オーストラリア西岸で発達する。
・堡礁…裾礁に近い形態のサンゴ礁のうち、島とサンゴ礁との間に礁湖がみられるもの。島の相対的な沈降が開始していると考えられる。オーストラリア東岸から太平洋中部、カリブ海、アフリカ大陸東岸、フィリピン〜カリマンタン島付近で発達する。
・環礁…島が完全に沈降し、リング上に発達したサンゴ礁のみが海面でみられる。モルディブ、太平洋赤道付近から北緯30度にかけてで発達する。
・卓礁…環礁に近い形態のサンゴ礁のうち、礁湖が発達せず楕円形のテーブル状のサンゴ礁が形成されるもの。風やうねりの激しい海域で、直径数km以下の小型のものが発達する。インドネシア、カリブ海の西インド諸島、オーストラリア北岸などにみられる。
岩石が位置を変えずに地表における作用で変質すること。熱や水による風化を化学的風化と呼び、高温や多湿な環境下でその影響が大きい。膨張や収縮の繰り返しによる風化を物理的風化と呼び、日較差が大きい冷涼や乾燥な環境下でその影響が大きい(実際は高温小雨≒砂漠気候でも日較差が大きくなるためそれなりに影響が見られる模様)。間帯土壌は基盤岩の風化などで形成される。
「砂漠」は本来はすなさばく(砂砂漠)とする説明もあるようだが、現代では多様な砂漠をひっくるめて「砂漠」と表記する。
急激な降雨の時のみ水が流れる涸れ谷である「ワジ」は隊商の交易路(隊商路)とされる。
カナート・カレーズ・カナルチン・フォガラなどと呼ばれる地下水路は蒸発による水の損失を防ぎ、水温を維持できる仕組みである。オアシス都市として有名なものに、トンブクトゥ、カシュガル、アリススプリングズ(オーストラリア)などがある。
・寒冷砂漠→ツンドラを参照
・雨陰砂漠
・中緯度砂漠
・海岸砂漠
・内陸砂漠
・砂砂漠(エルグ)…タクラマカン砂漠やグレートヴィクトリア砂漠。雨が降るとワジやペディメント(崖錐、急傾斜地と平地の間の緩傾斜地)が形成される。
・礫砂漠(レグ)…サハラ砂漠、アタカマ砂漠
・岩石砂漠(ハマダ)…サハラ砂漠、ゴビ砂漠
いわゆる大洋底の深度は3800m〜6000mである。
万年雪が堆積、圧縮された物が基盤岩を侵食しながら流下する物である。現存する大陸氷河がグリーンランドと南極大陸だけである一方、ロシアのウラル山脈以東のシベリアには乾燥のため氷河期でも大陸氷河は存在していなかった。また、降雪量が融雪量を上回る場所でのみ氷河は成立し、標高的に万年雪が存在できる下線を雪線という。
氷河の痕跡としては氷河が削り取った基盤岩が氷河の後退と共に残った物であるモレーン、氷河の伏流水の河跡であるエスカー、それらに削られた後のドラムリンなどがある。スイス・フランス国境のレマン湖やスイス・ドイツ国境のボーデン湖はモレーンによる堰き止め湖である。[→主な河川・湖沼]
主に融雪水が氷食による凹地にたまるか、モレーンによって堰き止められることで形成される。