地理の扉 地理資料集
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水運とは、海や湖、河川などの水路を利用して船や筏で物資・人などを運ぶことである。臨海地域どうしでは陸路よりも用意に結節できるケースも多く、一般に陸路に比べ一度に大量の物資や重量物をより早く・遠距離に輸送できる利点をもつ。
近代以降、鉄道網の整備や自動車の普及、道路網の整備といった陸路の発達、航空機の登場による空路の実用化によりその地位は相対的に低下しているが、災害などの非常時に陸路に代わる手段として、そして環境負荷の低い手段としての可能性が見出されている。
河口部で発達した都市
モントリオール、ニューオリンズ、ブエノスアイレス、バンコク、ホーチミン、カラチ、上海、香港、コルカタ、アレクサンドリア、ロンドン
河港都市
マナオス、アスンシオン(パラグアイの首都)、セントルイス、エドモントン、ヤクーツク、チョンチン、キエフ、ハムツール(スーダンの首都)、ジュバ(南スーダンの首都)、キサンガニ、キンシャサ、ブラザビル(コンゴ共和国の首都)
海峡の都市
シンガポール、ジャカルタ、イスタンブール、パナマシティ※運河
ラオスを例に取ると、メコン川は滝や浅瀬が多く水運に適さないため、河港が外港と水路で結節しておらず、更に内陸国であることから貿易港を持たない。
現在は、日本政府などの支援を受けながらトラック輸送のための道路整備(経済回廊)が進められている。
商業的役割…鉄鉱石など、重量物の安価な大量輸送手段となる。また、クルーズなどレジャー観光の素材になる。
農業的役割…灌漑用水の用水路や排水路として機能する。
防災の役割…洪水調節に役立つ。
元来低平な土地が多く、18世紀以降土木技術が発展していたヨーロッパでは、産業革命による輸送需要の増大をうけて、急速に近代的な運河が発達した。大陸部では起伏・河況係数共に小さいドイツ、ベルギー、オランダなどを中心として多く、イギリスでも盛んに建設された。水運は石炭や鉄鉱石などの重量物を効率的に輸送できるため、大陸部の運河地帯はのちに欧州最大の重工業地帯へと発展した。
アジアや中央アメリカ、南アメリカの経済発展によりパナマ運河の利用は増加している(ただし船舶数の増加というよりは船舶の大型化)。アメリカ西海岸の経済発展による影響も見逃せない。日本・中国・韓国の3カ国で利用量の40%を占め、残りの60%を南北アメリカ大陸で占めている。
ニカラグア運河というまさに第2パナマ運河にあたるような運河が計画され、中国系企業のもとで着工へ至ったはずが、以降ほとんど音沙汰がなく2024年に完全に頓挫した。政権の資金洗浄や投資家の資金集めの名目などアヤシゲな思惑が交錯していた模様。
近年の温暖化により、主に夏季の海氷が減少し、北極海を航行可能な期間が伸びている。東西冷戦が解消し、ソヴィエト連邦も崩壊したため北欧と東アジアの間を短絡する航路として期待が高まっている。
海賊が出没するマラッカ半島沖やイスラム過激派組織が存在するスエズ運河地帯の情勢が不安定であることも代わりに北極海航路を利用する魅力であったが、近年はロシア自体がアメリカ合衆国や西ヨーロッパ諸国と対立姿勢を見せているので、あまりその魅力は現在は大きくない。
規格の統一化を図ることで、荷役作業が効率化され、さらに規格に対応した異種の輸送機関への積み替えも容易になる(例:港でコンテナ船から陸揚げされたコンテナは、そのまま鉄道で地方に運ばれて駅でトラックに積み替えられ…)。異なる輸送機関を用いて効率的に輸送できるこのような仕組みを「複合一貫輸送」と呼ぶ。なお、JRF(JR貨物)は独自規格も採用している(標準的なのは20ftか40ftだが JRF型は12ftと小ぶり)。