地理の扉 地理資料集
地理の扉へようこそ!
自然増加率は出生数から死亡数を引いて算出する値である。大都市では確かに社会増加も多いが、就業機会が多い大都市では若年層の流入も多く、その結果自然増加率も上昇する(社会増加率が高い理由①出生数が多い)。一方、老年人口の割合(高齢化率)が低い場合も、人口は増加傾向にある(社会増加率が高い理由②死亡数が少ない)。
医療・福祉が向上しても自然増加率は上昇する。平均寿命も伸びる。
日本におけるベビーブームは戦後の復興や復員が進展した1947年〜1949年が第一次、その子世代に当たる1971年〜1974年が第二次にあたる。1966年は丙午(ひのえうま)につき出生数は一時的に減少した。第一次ベビーブーム世代を団塊の世代、第二次世代を団塊ジュニアと呼ぶ。ヨーロッパでは嫌な理由で戦後すぐは子供が増えたそうだが…。アメリカ合衆国やヨーロッパでも戦後の出生数増加は見られたそうで、その世代は「baby boomers」と呼ばれる。海外領土や戦場からの引き揚げも人口増に寄与した。日本は2005年以降人口減少社会に転じた。
【参考】日本の経済
1985年のプラザ合意以降、円高が進み輸出不振に陥った日本では、産業の空洞化が進んだ。また、1991年、ソ連が崩壊する最中日本のバブル景気も弾け飛んだ。
・就業における男女平等(ただし女性の社会進出が晩婚化・少子化を進めているという声がないわけではない)の実現、育休・産休の充実、保育サービスの整備、家族手当の交付
→共働きが増加しているので、夫婦ともに仕事を辞めずに(キャリアを継続しながら)子育てもできるのが理想
※いわゆる「生産年齢人口」は15歳〜64歳
1980年代から急速に低下しはじめたフランスの出生率は、人口維持の基準とされる2.1を割りこみ1996年には1.6にまで低下した。そのため、対策として男性の育児参加と女性の社会復帰を容易とする一方で、出産直後は育児に集中できる制度づくりが行われた。社会復帰は要するに復職。
出産育児休暇制度を充実させ男女共に6ヶ月の取得が求められるようになったほか、家庭内での男女同権、義務教育ではないが3~5歳を対象とし無償で利用できる保育学校、給与補償なども整備された。
以上の施策の結果、2000年代の出生率は2.0程度にまで回復した。
ある社会における生産年齢人口の割合が高い状態を人口ボーナスという。人口ボーナスの状態にあると税収が増加し、社会・経済も発達する。生産年齢人口に比べ、従属人口(14歳までの若年層と65歳以降の高齢者を指し、人口オーナスの文脈では特に高齢者を指す)の割合が高い状態を人口オーナスという。社会保障のための支出が増加し生産年齢人口の負担が増大するために経済発展が阻害される。
確かに人口ボーナスが発生すると若年層が増え、労働力が増すがそれに比例して産業も発達しないと労働力人口に対しての雇用が不足して失業率の上昇を生じてしまう。
18世紀の産業革命期以来、世界でも有数の大都市ロンドンは過密問題に悩まされていた。それを踏まえ、1898年にハワードが「田園都市」構想を打ち出し、そこで彼は自然と調和した適度な規模の計画都市を建設することを提案した。この主張は一定の支持を得、1903年にはロンドン北方56kmのリッチワースに第一の田園都市が完成するが、ここで採用された「職住近接」というニュータウンのあり方は、「職住分離」型で高度経済成長期に建設された日本のニュータウンと対比される。
その後も新たな建設もあったが、特筆すべきは1944年の大ロンドン計画である。この計画のもと、政府公社により32のニュータウンがロンドンの衛星都市として建設された。ロンドンと衛星都市の間にグリーンベルトと呼ばれる緩衝地帯を設け開発を制限することで、無計画な都市の拡大現象であるスプロール現象の発生を予防している。そのように配慮に富んだニュータウンが建設された一方、都心では港湾地区でインナーシティ問題が深刻化し、ドックランズで再開発が行われた。ドックは船渠の意。
山がちで平らな土地が少ない地域で人口が増加すると、低地や山地斜面での居住は増加せざるを得なくなる。しかし前者は浸水リスクが、後者は土砂災害リスクが大きく、そういった地域に居住するのは貧困層であるため、次第に不良住宅地区もといスラムが形成されていく。
禅は仏教の概念だが、欧米でも受容されている。ヨガは一概に仏教とは言えないが、インド古来の習慣が広く受けいれられている例。いずれも宗教色が薄くなっている節はあるが。