地理の扉 地理用語集
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中国は改革開放政策の結果、豊富な低賃金労働力や積極的な海外資本の誘致を通じて世界の工場と呼ばれるまでに発展し、諸外国の工場が集積し資本も集中的に投下されてきた。しかし、近年になると中国人の人件費は高騰し、強権主義的な政治体制への傾斜や米中貿易摩擦の拡大などの地政学的リスクの向上も顕在化した。
そこで、中国以外の国(ベトナムやインド、タイなど)「にも」工場などの事業拠点を進出させる多角化を進めることでリスクを低減させる取り組みが行われるようになった。この考え方をチャイナプラスワンと呼ぶ。
もともとは2000年の米越通商協定(ベトナム・アメリカ通商協定)締結に端を発するものである。
単なる脱中国の流れに加え、サプライチェーンの強靭化などのメリットも見込まれる。近年では2018年にドナルド・トランプがアメリカ合衆国大統領となり対中強硬策を取っため米中貿易摩擦が加熱し、韓国メーカー(中国メーカーも)を中心にベトナムなどへ工場を移す動きが見られた。欧米メーカーでも対中不信から同様の動きがあった(ウイグル人の人権問題もある)。トランプが再選し前代未聞の対外強硬政策を採っている2025年現在では、アップルが生産拠点をインドに移す計画を進めていることが報道されている。
中国の凋落を示唆しようとする文脈ではチャイナプラスワンすら終わった(=そもそも中国から撤収するようになった)とするものもあるが、真相やいかに。