地理の扉 地理資料集
陸地に占める割合はアジアで20%、アフリカで21.3%、ヨーロッパで46%、北米で35.5%、南米で48.3%、オセアニアで21.8%。日本はほとんどピッタリ3分の2が森林であるため、アジアの割合の低さは意外か。
熱帯雨林は多種・多層の常緑広葉樹。つる植物も繁茂し、林床は暗い。熱帯季節林(熱帯雨緑林)は乾季に落葉するため、林床に十分な光が届き下草が茂る。
フィンランドとスウェーデンだとスウェーデンの方が森林が多い。
針葉樹
40年〜50年ほどで用材に十分な大きさになるほど成長が早く、まっすぐに伸び、軽く、柔らかいことから加工が容易で建材に有利である。
広葉樹
成長がゆっくりで、横に枝葉を張り、重く、木目が変化に富むため建材としては扱いにくい。
インドや中国では森林減少により乾燥化や砂漠化の進展や水害の拡大などの実害が生じかねないため、ODAや国家が主体となって予防策や対策を講じているため森林が増加する。特に中国の森林増加量は目を見張るものがある。一方北米やヨーロッパでは森林の環境保護機能を期待して植林が行われているため森林が増加している。ロシアも森林は増加傾向にあるがこれは自然増加。ソヴィエト連邦崩壊以来、回復傾向にあるとはいえ特にウラル以東での重工業の停滞が著しい(ヨーロッパ側の工業地域は比較的マシとのこと)。
インドでは1988年より国家森林政策がとられ、マングローブ林や竹林を中心に面積が増加している。中国では1999年より退耕還林(→東大レポジトリ|直ダウンロード注意)が開始され、黄土高原などで異常に拡大した耕地を森林に戻す事業が行われている。
なお、プランテーション作物のなかでも、アブラヤシやコーヒーノキ、カカオなどは森林にカウントされるため、東南アジアや中南米の森林面積は想像以上に広い可能性がある。
1955年ごろから1970年代にかけて日本では「向都離村」の傾向が強まり、山村から三代都市圏に人口が流出・集中してその郊外や近郊では新興住宅地の建設ラッシュがおこり1973年にピークを迎えた。この理由として、戦中に国内の森林が荒廃し、新たな植林はいまだ成長していないため山村の主要産業である林業が振るわなかったことが挙げられる。以上の事柄(建設ラッシュ+林業不振)などから国内の木材が不足した日本は需要を輸入で賄うことになり、1964年の木材輸入自由化を迎えて林業は完全に斜陽産業化した。つまり、山村の人口は終戦や復員で人口が増加した時期を除いて長く減少傾向にあり、決して近年の少子高齢化によって始まったものでは無い。
水源を涵養し、水田などと共に土砂災害を防ぐ役割を果たす。防災の観点では過密な森も疎な森も適さず、適度な間伐などの手入れによって林床に光が届き樹木が健全に育つことが重要。健全な森林は生物多様性の維持にも貢献し、適度な手入れにより木々の根張りも良くなる。
森林と二酸化炭素
森林は樹木そのもの(生体バイオマス)や落ち葉に炭素を蓄える。腐植も炭素を蓄えるが、微生物により最終的に分解され切るまでの過程で二酸化炭素として再度待機中に放出される。しかし、泥炭は分解が遅いため貯蓄機能は大きい。また、人工林では適度に伐採して家具や建材に用いることで、森林の二酸化炭素吸収機能を維持し続けることができる。これには森林(樹木)は若いうちの方が成長が早く二酸化炭素の固定力が大きく、老齢になると低下する、という理由もある。ただし、燃料として用いると二酸化炭素に戻ってしまうのでこの場合はプラスマイナスゼロである(=カーボンニュートラル)。
熱帯地域などでは人口増加に伴う焼畑耕作の拡大や焼畑周期の短縮、過放牧、薪炭剤採取のための過剰伐採などで森林が減少している。
マングローブ林
マングローブは熱帯や亜熱帯の泥質の潮間帯に生息する植物の総称。紅樹林とも呼ばれる。
「林」をつけるかどうかについては、マングローブを「植生」と捉えマングローブ林を「群落」と説明される場合とマングローブを「群落」と説明される場合があるので個人的にはどちらでも有意な差はないと考えているが、概念としては「マングローブ」で実体を持つものとしては「マングローブ林」が無難か。
ヒルギ科が中心であるが特定の植物を指すわけではない。独特の生態系を涵養しているが、近年は破壊が進む。例えば、東南アジアでは主に日本向けのエビ養殖地の造成のために破壊されている。材木は塩性に富むため、薪炭材にはしづらいと説明される。
熱帯から亜熱帯にかけて潮間帯である砂泥地(=干潟)の汽水域に繁茂する、耐塩性の強い常緑広葉樹林。干潟と樹林は生物の生息環境と栄養を供給し、豊かな生態系が育まれる。マングローブの根は砂泥を保持するため海岸侵食を低減し、高潮や高波に対し堤防として機能する。スマトラ沖地震ではマングローブが津波を低減、あるいは到達速度を遅くしたとの報告がある。
世界的に見ると温帯林はそこまで広くない。
樹高の揃った針葉樹の純林が広がる。
タイガ
東シベリア内陸部は降水量が少ない(水蒸気量が少ない)が、低温のため蒸発量を降水量が上回り、永久凍土が融雪が地中に浸透浸透することを防ぐため、土壌の水分が保たれて森林が成立している。
シベリアの森林地帯や北米大陸に分布する針葉樹林。近年シベリアでは伐採が進み裸地が増加することで太陽光が地表に届きやすくなり、永久凍土の融解が進んでいる。それに伴いメタンハイドレートも融解したり土中の有機物の分解が進み、従来凍土中に閉じ込められていたものも含めて大気中にメタンガスが放出され、地球温暖化を促進してしまう。また、土壌がゆるくなることで倒木が発生し、階層構造の発達が乏しいタイガは倒木の跡地が裸地になるため負の連鎖を生じてしまう。
最北方がリャノで、南端はオリノコ川で区切られ山地形を越えてアマゾン盆地に至る。西端はほとんどアンデス山脈だが、南部では沿岸砂漠としてアタカマ砂漠が広がっている。南端はパタゴニアである。北方の東部にはギアナ高地が存在し、アマゾン川河口部から中流部はアマゾン低地である。アマゾン流域の密林はセルバと呼ばれる。大陸中部の大半はブラジル高原で、カンポセラードと呼ばれる地域でもある。ラプラタ川上流部の低地はグランチャコで、河口部のエスチュアリー周辺にはパンパが分布し、南下するとパタゴニアに至る。