地理の扉 地理資料集
エチオピアやコンゴ民主共和国、ナイジェリアは伐採量が多いが薪炭材用途が中心である。パプアニューギニアは伐採量が多く用材(燃料以外での用途)が中心だが、技術が未発達なため丸太のままで輸出に供される。一方、同じく伐採量が多いスウェーデンやフィンランドは、技術が発達しているため製材の輸出が多い。日本やアメリカ合衆国、ドイツは輸入大国だが、紙や板紙が中心である。中国やインドは建材が中心だったが、近年は紙や板紙も増加している。
急峻な国土を持ち伐採や搬出にコストが掛かる日本の林業は基本的に零細で生産性が低い。要所要所で機械化が進められており、バックホウを原型とした新たな林業用機械の導入などが試みられている。
第二次世界大戦で日本の山林は荒廃し、1950年代にかけて全国的に風水害が多発したため水源涵養の必要性が論じられるようになった。1946年に造林補助事業が開始、1950年には造林臨時措置法が制定され1951年には森林法の全面改正をみた(法制上は新設)。一方で先述の水源涵養の観点による治山事業も進められ、1948年には第1次治山五カ年計画が、1954年には治山事業十ヵ年計画が開始され、1956年には造林事業が完了した。
1960年代には日本国内の経済発展に伴い需要が増加したことをうけ、1961年に木材価格安定緊急対策として国内での増伐と丸太などの輸入自由化(関税化)が定められた。しかし、これと国内で過疎化や山村の高齢化が進行したことが影響して安価な海外産材の比率が上昇し国内自給率は低下した。
2002年に木材の自給率は18.8%と最低を記録したが以降は上昇に転じている。これは戦後に植林された人工林が伐採の適齢期を迎えていること(人工林の過半数がそうだといわれている)や、主な木材輸入先であった中国は経済成長で住宅需要が増している一方洪水対策として長江上流での天然林の伐採が禁止されたことで供給量が減少したこと、バイオマス燃料としての利用拡大などが理由として考えられる。
なお、2024年現在日本の現在の木材輸入元の首位はベトナムであり次点は中国。以下は東南アジアや北半球で比較的高緯度の国々が続くものの、年による変動がそこそこある。ニュージーランドやオーストラリアから輸入できないこともないが赤道でカビやすい。
元々国産材は木材価格の低迷や林業従事者の高齢化、搬出コストが高いという日本の森林特有の事情などであまり利用が活発でなかった。さらに、1990年代までに国内需要が停滞したうえリサイクルも進められるようになった。しかし戦後に植林された人工林が伐採適齢期になり、またスギ合板の利用が拡大したことに加え国策で国産材の使用が奨励されるようになったことから、日本の木材消費量が減少する一方国産材の比率は上昇傾向にある。また、放棄林が土砂災害や水害を拡大させる恐れがあることも伐採の促進につながっている。間伐材を中心にバイオマス発電での利用も進んでいる。
輸入が中心となっているために伐採適齢期のスギ林やヒノキ林が放置されていることが課題。
1950年代までは伐採が中心だった。森林鉄道跡地はこの時代の遺物であることも多い。高度経済成長で木材需要は増加したが、1960年代以降は国内は針葉樹に転換されつつ、輸入自由化へとシフトしていった。1980年代には本格的に国内林業が停滞し、外材中心となった。
紀伊半島南部を流下する北山川や中部地方の木曽川、秋田県の能代川などではかつて筏流しが盛んだった。ダム建設やトラック輸送への転換により現在は見られない。
木材の小片(チップ)から作られ、紙や木質ボードの素材となりバイオマス燃料やガーデニング用品としても用いられる。情報化の進展や長引く不況、古紙再生の拡大などの理由から国内のパルプ需要は2008年がピークで2010年代以降はほぼ横ばいで推移している。